#15: ふれる・さわる
今週のひとさら🍓
赤とオレンジのドット柄が華やかで楽しいひとさら
先週は日曜日営業ラストのごゆるりだった。
今回は、ごゆるりの来店前アンケートで、いちご・トマト・みかんが好きと回答してくれたゲストが2~3人ずついた。さて、どうやってその赤とオレンジの食材たちをひとさらにいれようかなと考えていたところ、ある一人のゲストから「本当に久しぶりの外食なので、とってもたのしみ。華やかで楽しい感じのひとさらが食べたい!」とリクエストがあったのをみて、華やかで楽しい感じ、かぁ。赤とオレンジが、丸い形で重なっていたら可愛いかも...。そんなふうに考えて、いちご・トマト・みかん・金柑をそれぞれ輪切りにし、ドット柄のように盛り付けたサラダをひとさらにいれることにした。
また、ごゆるりの過去のひとさらを見てくれていたあるゲストから「ポタージュに惹かれる...!」とリクエストがあり、「なかなか家で作らないものが食べたい」と回答してくださったお母さん世代のゲストがお二人いらっしゃったので、手をかけたポタージュはいれようと決めた。けれど、今回は苦手なものに牛乳・豆乳と書いているゲストが多数。ごゆるりのポタージュではこれまで豆乳を使うことが多かったのだけど、今回は牛乳・豆乳を一切使わずに、野菜だけでポタージュを作ることに。玉ねぎ・かぶ・人参をじっくりとろとろになるまで炒めて、塩麹だけで味付けしたポタージュにした🥕とっても優しい味わいで、これもゲストたちみんなに喜んでもらえた。
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ごゆるりでは、こうやって一人ひとりの要素を組み合わせてその日のひとさらができあがる。どうしてそんなことしてるのか、と時々聞かれる。それは、来てくれる一人ひとりに「あなたがいないと、このひとさらはできあがらなかった」という、その一人ひとりに込められた想いを感じて、ほくほくあったかいきもちになってほしいから。リラックスして、こころをちょっとゆるめてもらえる時間になったら嬉しい。そんなふうに考えているから。
そこに具体的な言葉がなくても、喜んでくれていることやほくほくしているのがゲストたちの表情から伝わってきて、それだけで私は嬉しくなる。ありがとうとありがとうが重なる。そんな食堂であることを、私は誇りに思うし、支えてくれる全ての人に感謝の気持ちが溢れている。
-Risa Masaki @risainsea
食と生の民族誌🌞ごゆるりを人類学的に考える
ふれる・さわる
6年ほど前、全盲のセラピストからマッサージを受けたときのことを思い出す。ゆっくりとした足取りで部屋に入ってくると、その右手で施術のベッドに触れ、身体のバランスを取る。窓際に置いてあるオイルのボトルを左手で掴むと、器用にその蓋を外す。右手は私の背中に向かい、静かに添えられる。筋肉の流れに沿って、身体の表面と自身の内面とを行き来するかのように、ゆっくりと圧力をかけていく。やがて左手もその施術に参与し、肩や腕を少しずつほぐしていく。
ゆったりと動く指や手のひらは、私の身体と何か会話をするかのように、何かを確かめるような動作する。視覚の失効した彼は、その目ではなく手を通して世界に参与している。触覚や聴覚を用いることで、目の前の身体とその周囲に広がる世界を独自の方法で「見ている」ように思えた。
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美学者の伊藤亜紗は『手の倫理』のなかで、「ふれる」と「さわる」というふたつの表現について興味深い説明をしている。伊藤は哲学者の坂部恵の言葉を引用しながら、「さわる」が物的・一方的であるのに対して「ふれる」は人間的・相互的であるという。「ふれる」という体験は自他の間での相互嵌入(お互いに入り込み合うこと)のきっかけであり、それはすなわち互いに「ふれあう」ということを意味する。自己という領域を飛び越えて直ちに他者のいのちにふれ、参入して行くという現象である。
これは、最初のレターで言及した、自他の境界という観点にも通づる点がありそうだ。システム論的な「内外」という自他の明確な区別ではなく、その境界に厚みを持たせることで、自他が相互に入り込む(=お互いをケアする)ことのできる場所。自己か他者かという二項対立的な思考フレームを乗り越えた世界に、ケアの源泉が立ち現れてくるのではないだろうか。
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2年近く続くパンデミックを通して、私たちは少しずつ、「他者にふれる」という機会を失ってきた。身近な人やものにふれることが、即座にリスクにつながる世界を生きている。それは、本来私たち人間が他者にふれるという行為を通して獲得してきた、他なるものに対するケアの精神を失っていくこと、利他的なこころを忘れていくことにつながりかねない。
2022年最初のレターを書く過程で、自身の生活を振り返りながら「ふれる」ことに関連する経験を思い出そうとした。ところが、頭に浮かんできたのは2年以上前のことばかりだ。自らふれること、他者にふれられるという経験が極端に減ってしまっていることを改めて痛感した。
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デンマークでは、2月に入ってあらゆる社会的規制が撤廃された。フランスや英国、そして北欧諸国も続く。数ヶ月先の暮らしの予測さえままならない不安定な世界の中で、少しずつ希望を見出しながら、「ふれる」という行為の可能性について考えていきたい。
-Masato Ushimaru @atthegorge
ひとことレシピ🍳
ピーマンの肉詰め
ふわっふわ🫑食堂でも人気だったメニュー✌️(ベジバージョンレシピあり)
<材料>
豚ひき肉:200g
ピーマン:5個
★お米の粉or片栗粉:大1
★マヨネーズ:大1
★醤油:大1
★玉ねぎ:1個
<作り方>
①玉ねぎはみじん切りにする。フライパンにオリーブオイル(分量外)をいれ、玉ねぎをいれて塩胡椒をふり、蓋をして弱めの中火で蒸し炒める。炒められたら、火を止めて冷ましておく。
②ピーマンは半分に切るか輪切りにし、タネを取り除く。(輪切りならお花見たいな形になる🌸)
ポリ袋に切ったピーマンを入れて、お米の粉or片栗粉少々(分量外)をいれ、袋をシャカシャカふってピーマン全体に粉をまぶす。
③ボウルに、ひき肉と★(炒めた玉ねぎも)をいれ、よく混ぜる。粘り気が出てきたらピーマンに詰める。
④フライパンにオリーブオイルを引いて中火にかけ、お肉の面を下に肉詰めを並べ入れ蓋をする。良い焼き色がついたら、ひっくり返し、火を弱めて、お水50ml程度(分量外)いれて蓋をして蒸し焼きして完成♪
<アドバイス>
・ひき肉を分量そのまま生おからで代用可。★の調味料で味がしっかりついてるので、十分満足感あり✨
・お好みで甘酢だれ(お酢・醤油・砂糖orみりん・水溶き片栗粉を2:2:2:1)を絡めても美味しい。
-Risa Masaki @risainsea
お知らせ📮
・ごゆるりでは一人ひとりに合わせた献立を提供するオンラインプログラム「りぶ ごゆるり」の参加希望者を現在受け付けています。ご希望の方はお気軽にごゆるりのInstagramにDM、もしくは公式LINEまでご連絡ください☺️