#18 かたる
今週のひとさら🌸
春の始まりを伝えるひとさら
ごゆるりに2~3ヶ月に1回のペースで来てくださる常連のお客さんがいる。そのお客さんがごゆるりの事前アンケートの「好きな食べ物」で回答してくれるのは、いつも「じゃがいも」🥔。だから彼女の来てくれる日はいつも「じゃがいもで今回は何作ろうかな、どうやってびっくり喜ばせようかな」と考えている。これまで、オーブン焼きやじゃがバタ炊き込みご飯、アボカドと一緒にマッシュポテト、ビーツと合わせたポテトサラダ、お魚と合わせたクリーム煮などいろいろ作ってきた。今回、別のお客さんから「食べたいものはコロッケ!」とご指名リクエストをいただいたので、今回はコロッケにしよう!とコロッケの採用がすぐに決定した。
さて、どんなコロッケを作ろうかなと考えていたところ、この日常連さんが一緒に来るお友達がお誕生日ウィークということで「お誕生日のお祝いに、ハッピーな気持ちになるカラフルなひとさらだと嬉しい」とリクエストをいただいていた。そこで、コロッケを春らしくしたいなと思い、新玉ねぎと新じゃが、紫キャベツを細かく刻んだもの、そして3人のお客さんが好きなものに書いていたサーモンを一緒にじっくり炒め煮した。それをマッシュするとほんのりピンク色のコロッケの種ができあがった。それを花びらの形に整形して、炒ったパン粉を振りかけた上に桜の花の塩漬けを添えたらとても可愛らしいコロッケに🌸🥔お客さんたちにとても喜んでいただけて、みんなの要素を詰め込んで手をかけてつくったコロッケだった分、私はとても嬉しかった。
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ごゆるりの事前アンケートで「最近の調子について悩みがあれば差し支えない範囲で教えてください」という質問がある。みんな色々なことを書いてくれるのだけど、「不安な気持ちになる」「ずっと疲れが取れない」といった回答をいただくことも多い。世界で色々なことが起こっていて悲しいニュースも日常的に見聞きし、さらに不安になる要素、緊張が取れない状態がなんとなくずっとある気がする。私自身もそうだ。それに対して特効薬みたいなものはない。
それでも、必ずこの世界には明日が来る。不安は無くならないかもしれないけど、だからこそ、目の前のちいさな幸せへの気づきを積み重ねていきたい。ちいさな幸せへの気づきからは感謝の気持ちがうまれて、感謝の積み重ねの先にはきっと愛があるとおもう。人が人をお互いに想い合う、もっと優しい世界が待っている。だからごゆるりでは、ちいさな幸せ、あたたかさを感じる時間をみんなに過ごしてもらえたら嬉しい。
今日はコロッケを作れてよかったあ。お客さんたちみんなの笑顔を見ながら、そんなふうに思えた土曜日だった。
-Risa Masaki @risainsea
食と生の民族誌🌞ごゆるりを人類学的に考える
かたる
たとえば、お互いに友人と呼び合えるふたりは、その「友人関係」という現象をそれぞれの視点から語る。出会った日のことや、喧嘩をしたこと、仲間を誘って出かけたときのこと。無数の記憶は、それぞれの言葉と記憶、感情を織り交ぜて物語となる。
同じように、異なるふたつの存在がお互いに何かを求めて言い争うとき、「争い」という出来事は、ふたつ(またはそれ以上)の立場から語られる。誰が善で誰が悪か、この正義論は、それぞれの立場から形作られる。この世にたったひとつだけの正義論など存在しない。
「かたる」という行為には複数性がある。言い方を変えると、「物語」は常にひとつより多いのだ。
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こうした「語りの複数性」をその中心的なコンセプトに添えてきた学問のひとつが、医療人類学だ。H・トリストラム・エンゲルハート、アーサー・クラインマン、アラン・ヤングといった医療人類学者たちによって膨大な知識が蓄積されてきたこの領域には、「疾病(disease)」と「病い(illness)」という区分が存在する。「疾病」とは、医療の専門家や生物医学が定義する、患者に対する診断結果を指す。対して「病い」は、一般の人たちが理解し、身をもって感じている病気の経験や概念全体を表す。クラインマンは、この「病い」がどのように人々に語られ、その語りは語り手の立場によっていかに変わるか、という点に着目している。
こうした語りは、社会における概念の線引きをも形作る。障害研究者のレナード・デイヴィスは、「障害(disability)」という概念が、それ自体として生まれてきたものではなく、「普通(normalcy)」という考え方とともに社会に浸透したという。何が「普通」で何がそうではないのかという問題は、社会の中で繰り返し語られ、私たちの身体に介入し、自然と振る舞いに反映される。語りは、また語られ、社会を巻き込む大きなディスコースとなる。
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語りの複数性に思いを巡らせるとき、いつもいくつかの問いが浮かんでくる。私たちは、「複雑性」といかに付き合うことができるのだろうか?ひとつのわかりやすい事実や、誰もが納得する真実というものが否定されたとき、そこに残される複雑で捉えどころのない複雑性から、目を背け続けて良いのだろうか?
3月が終わり、4月がやってくる。春は「出会いと別れの季節」と言われる。さまざまな物語を聞いてみたい。
-Masato Ushimaru @atthegorge
ひとことレシピ🍳
くたくた春キャベツとウインナーのスープ
キャベツが美味しい季節に一度は作って欲しいスープ🫕
<材料>
キャベツ:1/4~
ウインナー:5本前後〜お好みの量
塩胡椒:適量
水:300ml~
<作り方>
①ウインナーは食べやすい大きさに切る。キャベツは2cm幅程度のざく切りにする。
②鍋にオリーブオイルを薄く引いて、ウインナーとキャベツを入れ、塩ひとつまみふりかけ蓋をして蒸し炒める。途中何度かかき混ぜて、キャベツがくたっとするまで(綺麗な黄緑色になるまで)炒める。
キャベツが好みの硬さになるまで炒められたら、水を入れて塩で味を整えて完成🥬
<アドバイス>
・キャベツの代わりに新玉ねぎでもおいしい♪🧅
-Risa Masaki @risainsea
お知らせ📮
・ごゆるりの食堂をお手伝いしてくれるごゆるりファミリーのメンバーを新たに募集しています!お手伝いの頻度は基本1ヶ月〜2ヶ月に1回程度。ごゆるりのことをいつも応援してくれている皆さん(このレターを読んでくださっている皆さん)の中から、ファミリーに興味あると言っていただけたらとっても嬉しいです。ぜひRisaまでご連絡ください🤙